温暖化で、20年後も国産米が食べられるだろうか?

※この記事は2023年8月14日時点の情報であり、
公開日の状況とは異なるかも知れません。

新潟県の妙高市や十日町市では、連日の猛暑や、梅雨明け以降、
まとまった雨が降らなかった事から、渇水の影響が懸念されているようです。
7月は梅雨前線が北東北に停滞した事で、秋田県を中心に大雨になり、
新潟県は梅雨後半を中心に顕著な空梅雨になった事が影響したと思われます。

秋田と新潟、地理の違い

秋田市は日本海を臨み、山を背にし、雄物川が日本海へと注いでいます。
日本海からの湿った風が太平山で上昇気流となる事により、大雨をもたらすのです。
筆者は気象予報士ではないので、
先の大雨の原因を特定するものではない事を留意してください。

一方、新潟県は梅雨前線の南側となったので、
関東最北端とほぼ同緯度である十日町市は、
この間も晴天が続いていたのです。

また、海抜150mの内陸にある十日町アメダスの気候は横手とほぼ同じで、
3月以降、横手同様に気温が高かった事から、
雪解けが早く進んだ事も影響しているのかも知れません。

猛暑をもたらした原因

梅雨明けから、猛暑をもたらしている原因は、台風5号、6号、7号ですが、
これらの動きが遅く、これが太平洋高気圧の勢力を強めたそうです。
動きの遅い理由は、偏西風が日本列島を避けるように北に蛇行していた為、
台風を東へと押し流す力が弱かった為であるそうです。

高気圧が蛇行するとブロッキング※という現象が起こり、
2021年にカナダ東部で49.6℃を観測した熱波の原因にもなりました。
※暑いものはヒートドームと呼ばれるそうです。

また、8月8日(火)には北秋田市鷹巣で38.9℃、
8月10日(木)には青森県弘前市で39.3℃を記録するなど、
記録を更新する暑さになりました。

これは台風によるフェーン現象だそうですが、これは黒潮の北上により、
三陸沖の気温が平年より非常に高くなっている影響もあると思います。
風上である仙台でも、真夏日や熱帯夜が続いていたのです。
これは、平年の東京や静岡よりも暑い気温です。

偏西風が蛇行する理由は、北極の温暖化が原因であるそうで、
北極圏を含む世界中で、異常気象が起こっていると報じられています。

新潟の稲作、20年後はどうなっているだろうか?

米を実るまで88回の手間が掛かると言われていますが、
米1kgを生産するのに、3.6トンもの水が必要とされています。
米一合あたり、200リットルのドラム缶8分目と考えると、とんでもない量です。

しかし、猛暑が増えると蒸発する水も増え、猛暑に弱い稲には、
冷却の為により多くの水が必要になるという難点があります。

米という唯一自給出来る日本の主食を失う事になってはいけません。

また、日本の農家は高齢化しており、自営の農家も激減しています。
数十年のノウハウをもってしても、自然との戦いは予測不能で、
体力的にもかなり厳しくなっていると言えます。
そして、一人、また一人と、農家から引退していきます。
そのノウハウが失われるというのは、日本にとって大きな損失です。

一縷の望みは気象予測の進歩か

ドラマ「JIN」の台詞で坂本龍馬が
「10年、100年先を知ったところで、日は一日一日明けていくだけ。」
「一歩一歩進むしかない」と言っていました。

このご時世、戦争や紛争、人為的なイレギュラーはあっても、
このまま地球温暖化が進めば、2100年の平均気温は、
100年間で最大4.8℃上昇するという予測を立てる事が出来ます。

これも個人的に、耳が痛くなる話なのですが、例えば70ページの課題を、
2週間以内に完成させるとします。
計画的な人は、感覚的に70÷14=5で、一日6ページ以上進められれば貯金になり、
5ページも進められなければ負債になります。
温暖化対策は、人類への長い長い宿題のようなものです。

ですが、日本の将来や老後の事など、遠い将来の事を突き付けられても、
実際問題として捉える事はなかなか出来ません。
理解出来ない事を、分かったような振りをして、無理に納得する必要はないのです。

30年先の大雑把な推計を立てるより、30日先でも、
より緻密な精度で気象を予測する技術が完成すれば、
世界の常識は大きく変わると思うのです。

日本は地形的に農業に適していませんが、大雨に見舞われても、
局地的な被害で済みます。
「済む」という言葉は不適切かも知れませんが、日本の河川は短く、
高低差が大きい為、中国やインドのように被害が大規模化しないのです。

一方、アジアはモンスーン(季節風)の影響で梅雨、または雨季が存在し、
モンスーンが強ければ、北部で洪水、南部で旱魃、
逆に弱ければ、北部で旱魃、南部で洪水となる事があります。

洪水は、農家の年収を一瞬で刈り取ってしまう恐ろしい存在ですが、
渇水は、使える水が限られているだけで、灌漑する耕地を絞れば、
少なくとも「共倒れ」にならずに済みます。

30日先でも、雨の降る地域、降らない地域を正確に特定出来れば、
より効率的な灌漑が出来るし、人的コストも割けるという訳です。

中国では耕作地を転用する為に、役人が勝手に農家の畑を潰すなど、
独裁的な動きが見られます。

ですが、日本のような放任主義のサラリーマン役人※よりかは、
中国の計画経済と、人工知能による気象予測を取り入れた方が良いと思います。

※ここでの「サラリーマン」は自営業者、事業主と対義語的に用いており、
 「責任感がない」という意味ではありません。

地方の過疎化、農家の高齢化は、避けて通れない問題だとしても、
人工知能の発達によって、農業の上での課題を多く解決出来るのです。
それは、農業再生の兆しとなるかも知れません。

タイトルとURLをコピーしました