本日は8月14日で、この地域ではお盆期間2日目です。
昨年も今日のような蒸し暑い雨の日の翌日で、台風が接近していました。
昨年も7月は日本海側で大雨、8月は太平洋側の一部で大雨でした。
海水温の上昇により、台風5号の勢力が衰えず、しかも速度が遅い為、長時間、
同じ所に留まっているとニュースで聞きました。
2017年8月以降、太平洋側の黒潮(暖流)の大蛇行が継続しており※1、
それが、より大気を温めているそうです。
台風が通過すると海水温は一時的に下がりますが「焼け石に水」で、
熱帯からせり上がってくる海流を止めない限りは、
高温化そのものを止められません。
これは夏の暑さだけでなく、冬の大雪にも関係するので、
深刻に考えざるを得ない問題です。
そういう訳で、お盆という伝統行事は、気候変動により、
現在進行形で災害のリスクが増している中で、
「持続可能な活動」とは言い難くなっています。
お盆とライフスタイル
本来、お盆は自宅で静かに催していたものの、
地方からの継続的な転出により交通渋滞に拍車を掛け、
1年の中で最も暑く忙しいウィークとなっています。
我が家では、10km程離れた母親の実家に泊まった事もあったのですが、
私は飽きっぽい子供だったので、必ずしも楽しい思い出ではありませんでした。
今なら分かりますが、それは成長した子供を見せたいという親の孝心だったと思いますが、
そこまで酌むには若過ぎたのです。
近年は感染症により、本当は親に子供を見せたい人、休日を満喫したい人、
実家ではなく自宅で静かに過ごしたい人など、
普段の行動と世の中の変化により、様々な人の反応があります。
中には、親戚付き合いが煩わしいと感じる人もいるでしょう。
このように「比較的現代のお盆のスタイル」に対する人々の受け止めは、
2通りや3通りに収まるものではないのではないでしょうか。
お盆の起源
お盆の起源は、釈迦(梵語:シャーキヤ)の弟子である
目連尊者(梵語:マウドガリヤーヤナ)が神通力を用い、
死後の母親を透視し、釈迦の教えにより、
飢えに苦しんでいた母親を救う話に由来します。
私は仏教をそこまで理解していないので、詳しい解説は割愛しますが、
「施しの心を持つ」事で、自分のみならず、
先祖まで救う事が出来るという仏教の教えと私は感じます。
この話が書かれた経典が盂蘭盆経(うらぼんきょう)であり、
それがお盆の由来となっています。
お盆は新暦と旧暦のどちらに従うかにより、7月に執り行う地域もありますが、
サバナ気候である現地のインドでは、雨季の終わりに当たります。※2
現代では「終活」というように、子供達に迷惑を掛けないように、
自分で身の回りの整理を済ませておく人もいますが、
盂蘭盆経では亡くなった後も六道輪廻※3し、魂は続くという事と、
肉親を失ってからでも、親孝行に決して手遅れはない話だと感じました。
お盆の精霊馬(しょうりょううま)とお供え物
お盆の精霊馬(キュウリで馬を模り、ナスで牛を模ったものをお供えしたもの)は、
飛鳥時代~平安時代の宮中行事として成立し、
江戸時代に民衆にも広く定着したそうです。※4
東北地方では、これらを「飾る」派が多数派になっているそうですが、
我が家ではやらないし、見た事もありません。
近畿以西でも飾る家もあるそうですが、少数派となっています。※5
江戸時代の武士階級では、比較的豪華な食事が出る事もあったそうです。
スイカも夏の味覚であり、お盆の供物としてグレードが高いと言えますが、
日本人の間で広まったのは江戸時代後期からだそうです。
お供えしてから下げるタイミングについて、具体的な決まりはないですが、
鮮度を保つ事が神仏霊への礼儀になります。
お盆の最終日
京都では8月16日の送り火の際に、五山送り火(大文字焼き)と共に、
渡月橋(とげつきょう)で開催される「京都嵐山灯籠流し」があります。
行事は、1949年から戦没者を慰霊する目的で行われています。
地域によっては、戦没者を慰霊する為、灯篭流しを催す事があり、
お盆の最終日に限っては「謹んで死者を悼む」特別な日であると言えます。
我が家では13日に灯篭を飾ると共に迎え火を焚き、16日に送り火を焚きますが、
墓参りは近い方から、13日に済ませます。
昔は祖母のいる母親の実家で過ごす事もあったのですが、
そういう時間も大切に過ごすべきだったと思います。
今では母親の実家とは縁遠くなってしまい、
殆どの日程は8月13日で終了となります。
まとめ
お盆の習慣について、「一定した伝統」について確証的なものが見出しにくく、
墓地や埋葬の方法も、江戸時代までは共同墓地でした。
私の地域は戦前までは「土葬」であり、立派な墓地が建立されるようになったのは、
戦後になってからです。
江戸時代は、故人が存在した証明として「卒塔婆」が、
故人に対する最大の手向けだったと言えます。
戦後に始まった灯篭流しもそうですが、お盆は伝統というよりメモリアルで、
「供養の形式」というより、故人を追憶する事だと思います。
重要なのは形式よりも弔う心であり、今後、世の中が変化し、
様式が大きく変わったとしても、心そのものは変わらないものだと思います。
出典
※1
https://www.tokyo-np.co.jp/article/271406
※2
https://www.hasegawa.jp/blogs/kuyou/obon-meaning
※3
六道輪廻とは、仏教の教えに基づく生死のサイクルで、
人間が生まれ変わりながら六つの異なる存在状態
(天界、阿修羅界、人間界、畜生界、餓鬼界、地獄界)を
経験するとされるものです。
※4
https://www.hasegawa.jp/blogs/kuyou/obon-ushiuma
※5